指導員紹介① 山上貴大指導員 テコンドーにかける情熱
HHTC で活躍する指導員にスポットを当てた紹介記事です。第 1 回目は中野道場の一期生でもある山上指導員に、テコンドーの楽しさやエピソード、プライベートなどについて語っていただきました。
普段、どのような生活を送っていますか
フィンテック企業に勤務し、金融の仕事をしながらテコンドーの指導員と選手をしています。平日は仕事なので、朝や夜の遅い時間にトレーニングをするという日々です。
指導は中野道場で、土曜日の上級者・初中級クラスの担当をしています。練習後は高円寺で食事をしたりお酒を飲んだりすることもあります (良いお店を知っています)。日曜日は家族と一緒に過ごしています。
どんな仕事をしていますか
コンプライアンス部門に所属し、法令諸規則や社会的要請への対応、業界や社会の発展に寄与する仕事をしています。本当に尊敬出来る先輩や同僚が沢山いて、仕事を心から楽しみだと思えるような職場です。日々情勢が変わる中で、法令遵守の観点からベストな対応や管理体制の構築をするには勉強が必要で、責任もありますが、周りの人に助けてもらいながら何とかやっています。
仕事で大切にしているのはバランス感覚です。やりたい事とすぐ出来ることの範囲は異なり、そのギャップを埋めるためには様々な調整が必要です。周りの人のことを慮って接したり、何かの提案や判断をするバランス感覚が求められます。この周りの人に対する尊敬や礼儀、取り組みを実現するためのバランス感覚はテコンドーの精神や修練から学んだもので、色々と通ずるのものがあると感じています。
オフィスにて
どんな学生時代を過ごしていましたか
よく学び、よく遊んだ充実した学生時代でした。大学院では経済学を専攻をし、産業組織やゲーム理論を中心に経営戦略、法律学、数学などを学び様々な経済問題や政策の研究を行いました。論文は特許制度をトピックに企業の戦略的行動と社会厚生の分析についてまとめました。
経済学というのは人の幸せについて考える学問であり、法律や制度は人の幸せを守るためのものだなぁというのがインプリケーションでした。経済分野で役にたとうと思うと貢献の仕方は沢山あります。例えば公務員、アナリスト、起業、専門職。私は経済社会の中での健全性や透明性を守ることに貢献したいと思い金融コンプライアンスの道を志しました。この頃に学んだ物事の見方は今の社会生活でとても役に立っています。この頃に担当で論文指導していただいた先生と勉強会はもちろんですが、よく一緒に美味しいラーメン屋さんを開拓 & 評論をしていました。こちら、かなりレベルが高かったです。笑 勉強するとお腹が空くんです。テコンドーも学生時代も先生には非常に恵まれました。本当に運が良かったなと思っています。
休日はどんな事をしていますか
休日は家族と過ごせる大切な時間です。家でアフタヌーンティーをしたり、美術館やコンサートに行ってリフレッシュすることもあります。学生時代は論文に行き詰まったときに美術館に行って思考の整理とアイディアのメモをしていました。天気の良い日に公園を散歩して日陰のベンチでまったりして、うとうとするのも好きです。
長期休暇が取れたらまたどこか海外旅行に行きたいと思っています。今までもいくつかの国で様々な街を歩き自然を見て文化を体験してきました。日常にない非日常に身を置くと自分を見つめ直したり思考の整理が進みます。だいたい何かアイディアを思いつくのは休日の何気ない時間です。オフの時間はとても大切にしています。
日本代表としてアジア大会に出場、入賞
座右の銘は何ですか
「上善如水」という言葉です。これは老子の道徳経の 8 章に書いてある言葉です。最高の人生のありかたは、水のように生きるということです。水は生命の源であり、しなやかに形を変え、様々なものを受け入れ、恵みを与えながら最後は一番低いところに流れつきます。時には水も岩を砕くほどの力強さも兼ね備えています。寛容さや調和や謙虚さを表す言葉でもあります。何かの利害にとらわれることなく、自由に形を変えながら、また謙虚さを持って生きていきたいと思っています。
テコンドーではどんな思い出がありますか
これまでテコンドーではたくさんの思い出があります。日々の稽古、指導、大会、遠征、演武などあげるときりがありません。
まず、指導者としては中野道場でクラスを受け持っていますが、たくさんの良い生徒に恵まれています。私の拙い指導からでも何かメッセージを受け取って稽古に励んでくれています。時には生徒から学ぶ事もあり、自分にとっての学びの時間でもあります。テコンドーから離れてしまっている生徒とも今も交流があります。
数年前の中野道場 10 周年記念で行ったパーティーもひとつの思い出です。この時は 100 人以上の方に集まっていただきお祝いをしました。中野道場生でパーティーの準備をして、有段者のメンバーと演武も披露しました。次の 20 周年はどんなメンバーと迎えることが出来るのか、とても楽しみにしています。
選手としては全日本大会をはじめ、色々な大会に出場しました。日本代表として国際大会に出たこともありました。競技という勝ったり負けたりとても残酷な世界の中で、「勝ちたい」というより「負けたくない」という気持ちがいつも心にあります。最後まで負けないためには結局一番になるしかないので、そのためにこっそりと自分のトレーニングをしています。
何度か海外の道場をまわる旅に出たこともありました。キルギス、チェコ、イギリスの道場に道着ひとつを持って出稽古に行きました。どこの国も良い先生がいて良い生徒がいてテコンドーという共通の言語を通じて交流することが出来ました。ハードなトレーニングもありましたが、テコンドーの稽古、技術、精神、競技、指導、審判、仲間のことなど様々な事を語る最高の時間を過ごすことが出来ました。
このような経験をすることが出来たテコンドーにはとても感謝をしています。今、一番テコンドーが面白く、これからもっと面白くなると思っています。今、一番テコンドーが好きで、これからもっと好きになっていくのだと思います。こう思えるのは良い先生と出会えたからだと思います。
色々と話しましたが、全て私にとって大切なことです。これら全て含めて私のテコンドーライフです。
遠征先のイギリスにて
インタビュー/構成:楢崎 晃太
ファラン黄道場指導員。2 段